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マイアミバイスのリメイク?(コラム) 印刷 E-mail
好きなテレビドラマだった。

『特捜刑事マイアミ・バイス』は、フロリダ半島にあるアメリカでも有数の大都市圏を形成するマイアミを舞台にした、スタイリッシュな(80年代当時)刑事ドラマ。

陽光きらめくフロリダの海、ヒスパニック系の俳優たち、ドン・ジョンソンの微妙な長さの無精ひげ(いつも同じ長さに保っているのだから無精ではないか)、フィリップ・マイケル・トーマスの派手なスーツ。時間というフィルターでろ過したわたしの『特捜刑事マイアミ・バイス』のイメージはこんなだろうか。

そういえば、当時ドン・ジョンソン風のヒゲにするというシェーバーが売られていた記憶がある。こんな微妙な商品が売られるほど、このドラマは世間に影響を与えていたということだろう。

このTVドラマを成功に導いた最も特筆すべき点は以下の二点だろうと思う。ひとつは、予定不調和のエンディングが多いということ(ドラマのストーリーは一話完結になっている)。ドラマの最後に、犯人に逃げられる。必死に守ってきた犯罪立証の証人を最後に殺されてしまう……等々。それまでの刑事ドラマには見られなかったエンディングを初めてみたときにはしびれたものだ。

もちろん予定不調和のエンディングというのは、それまでの小説にも、映画にも、そしてTVドラマにも登場しているものであるが、『特捜刑事マイアミ・バイス』では、潜入捜査という特性により、豪華な生活でカモフラージュして刑事であることを隠しているため、普通の刑事ドラマよりもファッショナブルな刑事(ドン・ジョンソンとフィリップ・マイケル・トーマスの衣装には相当の予算が割かれた)が登場する。その刑事たちがハッピーエンディングに至らないという構図は、落差が大きく衝撃的だった。

もうひとつ特筆すべき点は、使用されている音楽の豪華さである。当時、ビルボードを賑わしていたナンバーが挿入歌として流れ(逆にこのドラマに使用され、ヒットするケースも)、中でもヤン・ハマーの『マイアミ・バイスのテーマ』はインストゥルメンタルであるにも関わらず、ビルボードのトップになり、グラミー賞も受賞した。捜査に失敗した状態でエンディングを迎えても、翌週にはヤン・ハマーの軽快なテーマミュージックから始まる。このギャップもクールだった。

前置きが長くなったが、この『特捜刑事マイアミ・バイス』が映画となってリメイクされた。監督は、テレビ版のプロデューサーを務めたマイケル・マン。監督としても、『ヒート』や『コラテラル』等、男同士の友情や裏切りといったテーマの作品を多く撮っている。他にも激しくリアルなガンアクションが作品で描かれることが多い。その作風から、サム・ペキンパーと比較されることがある。

さてこのリメイク版『マイアミ・バイス』、結論からいうと、あえて「マイアミ・バイス」と名乗る必要はなかったのではと思う。登場人物の名前が同じで、主な舞台はTVドラマと同じくマイアミではあるが、そのイメージはTVドラマとはかなり異なっている。

まず気になるのは、全体的な印象がかなり「暗い」ことだ。時代を反映させ、TVドラマでドン・ジョンソンがよく着ていた白いスーツに対照的にしたかったと思われるが、メインキャストであるコリン・ファレルとジェイミー・フォックスの衣装は、黒を基調としたものが多い。夜のシーンが多いだけにその服装はかなり、地味で退屈な印象を与えている。

冒頭の売春捜査のシークエンスも退屈だ。本筋とはまったく関係がなく(いずれリンクするのだろうと思いながら見続けたが)、登場人物をうまく説明できているとも思えない。何のために脚本に入っているのか疑問に感じる。

マイアミ以外の多くのロケ地も不要だと思う。中南米で多くロケされたとのことであるが、これでは、「マイアミ・バイス」というより、「インターナショナル・バイス」、いや「ラテン・アメリカ・バイス」といった感じである。当時のマイアミとは違った現在のマイアミをもっと見たかった。

それでも素晴らしいシーンはいくつかある。闇夜の銃撃戦(敵味方が少し分かりづらいが)、大海原を疾走するパワーボートのシーンなどは劇場版にふさわしい迫力を作品にもたらしている。

映画「マイアミ・バイス」は、時代背景が現代に変えられたことで、『特捜刑事マイアミ・バイス』の要素が多く削り取られてしまったように思う。無性にテレビ版の『特捜刑事マイアミ・バイス』が見たくなった。これが映画『マイアミ・バイス』を見た感想である。


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エポックメイキングといえるテレビドラマ。
マイアミ・バイス(サントラ)
元イーグルスのグレン・フライによる『ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ』がかっこいい。
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これがドン・ジョンソン? それはともかくワニもいます。

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