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オー・ヘンリーのラブ・ストーリーズ 印刷 E-mail
あなたの感想: / 13
まあまあおもしろそう! 
いまから五十年前、オー・ヘンリー原作のオムニバス映画『人生模様』(1952年)が製作された。原題は「オー・ヘンリーのフルハウス」"O.Henry's Full House"。名作五編を映像化している。

1.『警官と賛美歌』
監督:ヘンリー・コスター
キャスト:チャールズ・ロートン、マリリン・モンロー、デイビッド・ウェイン

2.『ラッパのひびき』
監督:ヘンリー・ハサウェイ
キャスト:デイル・ロバートソン、リチャード・ウィドマーク

3.『最後の一葉』
監督:ジーン・ネグレスコ
キャスト:アン・バクスター、ジーン・ピータース

4.『赤い酋長の身代金』
監督:ハワード・ホークス
キャスト:フレッド・アレン、オスカー・レバント

5.『賢者の贈り物』
監督:ヘンリー・キング
キャスト:ジーン・クレイン、ファーリー・グレンジャー

残念ながらこの作品は見ていない。名優チャールズ・ロートンが主演していたり、西部劇の監督としても有名なハワード・ホークスが撮っていたり、マリリン・モンローが端役で出演したりとなかなか豪華である。さらに各話をつなぐナレーターを『怒りの葡萄』、『エデンの東』のノーベル文学賞作家ジョン・スタインバックが務めている。ビデオ化はされているが、DVDにはなっていない。

オー・ヘンリーはいわずとしれた短編の名手である。彼の名を冠して英語の優れた短編小説に与えられる賞としてオー・ヘンリー賞がある。

彼の作品の特徴は、意外なエンディング、いわゆる「どんでん返し」があげられる。英語では「オー・ヘンリー・エンディング」という言葉が通用するくらい定着したイメージである。

調べてみると、彼の作品はロシアでとても人気があるのだそうだ。ロシア人は勝手に長編小説の好きな国民というイメージを持っていただけに意外だ(偏見?)。ロシアでは、オー・ヘンリーの作品は何本も映画化され、彼の作品がもとになったことわざまであるというから、驚きである。

ところで、豪華なオー・ヘンリー原作のオムニバス映画が製作されてから半世紀以上も経っている。もう一度オムニバス映画を製作してみてはどうだろうか。

彼の作品は、時代を経ても色あせない魅力を持っている。英語の教科書ではいまだに多く取り上げられている。

しかしながら前回と同じラインナップでは芸がないので、「恋愛」にテーマを絞ったものを考えてみた。

1.『振子』
2.『自動車を待つ間』
3.『人生の回転木馬』
4.『都会の敗北』
5・『賢者の贈り物』

こんなラインナップはどうだろう。

以下、あらすじも踏まえて、紹介するので、これからオー・ヘンリーの作品を読もうと考えている人は以下の文章を読まないでいただきたい。彼の作品はオチがすべてというわけではないが、知らずに読む方が楽しめることは間違いないので。(一応念のためオチの部分は白地にしているので、読む場合は反転させて読んで下さい)







『振子』

台詞や行動の描写は少なく、要約と回想が中心のこの短編は、映像化には向いていないかもしれないが、心に残る作品である。

あらすじ

結婚して二年目になるある男が毎晩、仕事から帰ると妻が止めるのも聞かず、仲間と飲みに出かけていた。いつも八時十五分に出かけることが彼の「いつものしきたり」になっていた。

そのとき妻はいつもこう尋ねる。「あなた、どこへいらっしゃるの?」
男はこう答える。「ちょっとマックスロキーのところへ行って、連中とプールを二、三番やってこようと思ってね」

この毎晩繰り返される会話も「いつものしきたり」だった。

そんなある日、仕事から家に帰ると妻がいなかった。書置きが残してあり、妻の母親が重病なので、実家に帰るとのこと。

妻は激しく動揺し、慌てて出かけたようで、家の中はひどく散らかっていた。彼は落ち着かない気分になった。それは妻の母親の体を心配したせいではなく、妻のいない我が家の雰囲気に驚いたからだった。結婚して二年、一晩として、彼と妻は別々に過ごしたことはなかった。彼にとって妻は、いわば空気のような存在であり、必要不可欠であるが、それと気づくことは滅多にない存在になっていたのだった。

男はまず部屋を片付けた。その気になれば、誰に咎められることもなく夜の街へ出かけていって夜通し飲み明かしたり、はめをはずしたりできるのであるが、そんな気にもなれず、ひとりさみしく夕食を食べた。

食事を終えると、煙草を吸う気もおきず、ひとり感慨にふけった。思い起こすと、妻にはひどいことをした。自分は酒を飲んだり、騒いでいたりしていたあいだ、妻はひとりぼっちで、なにひとつ心をなぐさめるものもなく、家ですごしていたのだ。仲間と出歩かずに家で妻と過ごしてやればよかった。彼はあらためて妻が自分の幸福にはなくてはならないものだと悟った。

仲間とは手を切ろう。彼女が帰ってきたらこれまでの償いをしよう。そう決心して彼は残された彼女のブラウスを見て、涙するのであった。

そのとき、突然妻が家に帰ってきた。妻の母親の様態は思ったほど悪くはなく、向こうの駅へついてからとんぼがえりで家に戻ったのだった。

彼は驚いてしばらく彼女を見つめていた。そして時計を見ると針は八時十五分をさしていた。彼はおもむろに帽子を手に取り、出口へ向かった。妻がいつもの口調でつっかかってきた。「あなた、どこへいらっしゃるの?」
「ちょっとマックスロキーのところへ行って、連中とプールを二、三番やってこようと思ってね」


人間の本質を描いた、いい短編小説だと思う。こういうことって状況は違えどよくあることだと感じる。


『自動車を待つ間』

この物語もわたしは非常に好きである。物語のはじめは、少し現実味がないような気もするがオチがおもしろい。

あらすじ

公園のベンチで灰色のドレスを着た女性が本を読んでいる。地味な服装であるが、そこに隠されている上品さを感じ取った男性が彼女に話しかける。彼は彼女が昨日も一昨日もそのベンチで本を読んでいたことを知っていたのだった。

彼は彼女を口説こうとする。彼女は自分が実はとても裕福な家族の一員であることを彼に打ち明ける。「普通の」人を観察したいがために、この公園に来ているという。

彼女は、彼の口調から彼が身分の低い人間であると判断するが、彼女は自分が恋するとしたら身分の低い男ではないかと思うと彼に語った。

彼は自分はレストランの出納係をしていると彼女に告げる。すると彼女は突然これから晩餐会に行かなくてはならないからと、ベンチを立つ。もう一度会えますか、と男が尋ねると、彼女は、もうこのような気まぐれはおこさないかもしれない、と答える。そして、公園の裏に運転手と車を待たせているので失礼します、と彼女はいった。

彼が、それでは車までお送りします、と申し出ると彼女は、車には名前のイニシャルがナンバーに記されているので、わたしの気持ちを尊重してくださるのでしたら、わたしが立ち去ってから十分間だけこのベンチを離れないでください、と頼んだ。そして彼女は気取ったようすで去っていった。

彼は彼女との約束を破って、公園の木立の中を、彼女が進むのと平行に、その姿を見失わないようにあとをつけた。

彼女は車を通り過ぎると、公園の裏のレストランに入っていった。そして出納係の席に座った。彼女はその店の出納係をしていたのだった。

彼はそれを見たあと、しばらく決心がつきかねたように、そのへんをぶらぶらしていた。やがてそこにおいてあった自動車に乗りこみ、後部座席に座るとクッションによりかかり、運転手に向かっていった。
「アンリ、クラブへ」


まさしくオー・ヘンリーらしいエンディングである。彼女の上品ぶった会話がおもしろい。ときどき、彼女はボロがでそうになるのだが、それをうまくとりつくろい、読者は彼女はやっぱり本当にセレブなんだろうと思いはじめたところにこのオチである。彼の物語のオチは途中で分かりそうな気もするのだが、読んでいるときになかなか気づかない。これは彼の語り口のうまさだろうと思う。


『人生の回転木馬』

この作品は一番映像化に適しているように感じる。話はシンプルだ。離婚したがっている男女が最後には仲直りをするというものだ。オチのおもしろさよりもこの男女と治安判事とのかけあいがおもしろい。


『都会の敗北』

ある田舎育ちの男が都会で成功し、超セレブなお嬢様と結婚する。その男はいまではすっかり洗練された態度を身につけ、立派な紳士として通っていた。ある日、超セレブな妻が彼の実家を見たいといいだしたのでふたりで実家を訪れることにした。

実家に戻った彼はすっかり懐かしくなり、きどった妻をほったらかしにし、洗練された作法を脱ぎ捨て、弟と相撲をとったり、下品な話で家族を笑わせたりして羽目を外す。

熱狂といっていいほど、彼は家族と騒ぎ、妻の存在を全く忘れてしまう。いままで押さえていたものが一気に噴き出したかのようだった。先に寝室へいった妻は、彼がやっと部屋に来ると、じっと窓際に佇んでいた。

彼は自分の本性を妻に見られ、妻に完全に嫌われたと感じつつも、自分のこの熱狂を後悔することもなかった。

やがて妻は振り向いて彼にいった。

「わたしは紳士と結婚したと思ってました――でもわたしはわかりました。わたしが結婚したのは――もっとすばらしいひとりの男性であるということが。さあ、わたしにキスして」


『賢者の贈り物』

いわずと知れたオー・ヘンリーの名作である。この作品だけは『人生模様』とかぶってしまうが、やはりこの作品はオー・ヘンリーのオムニバスには欠かせないだろう。もしもう一度この物語を思い出したいという方は、わたしの拙いあらすじを読むよりも全文訳を読む方がいいだろう。以下のサイトに記載されているのでそちらをご覧ください。

http://www.hyuki.com/trans/magi.html


架空の映画レヴューでは、監督とキャストもいつも考えるのだが、今回はいろいろと考えてみたが、なかなか思い浮かばなかった。(面倒だったからじゃありません・・・。もしいいキャスティングがあればおしえてください)

参考:O・ヘンリ短編集 大久保康雄訳 新潮文庫


amazon.co.jpで『人生模様』を見る。
DVDが出ていないのが残念です。
amazon.co.jpでオー・ヘンリーを見る。
オー・ヘンリーの作品ははずれが少ないですね。

コメント
O・ヘンリー
こさむ : 2006-11-09 04:06:53
懐かしいですね〜。 
私もO・ヘンリーは学生の頃に読んでました。けどなにぶん四半世 紀以上前のことですので、中身をはっきり憶えていたのは『最後の 一葉』と『賢者の贈り物』くらいのものでしたが…。 
 
『最後の一葉』はもう少し話をふくらまして1本の映画にしても良 いような気がします。 
太田裕美の歌にもありましたね。 
 
まったくの余談ですが、昔少年マガジンに連載されていた『パンパ カ学園』に理科担当のオー・ヘンナー先生というキャラクターがい ました。O・ヘンリーから名前をとったのでしょうか。
最後の一葉
B.O. : 2006-11-10 10:07:43
たしかに『最後の一葉』は一本の映画にしても、見ごたえがありそ うですよね。なんで製作されないんでしょう? あまりにもネタバ レしているからでしょうか。 
 
「パンパカ学園」・・・う、知りません。マガジンですか? 結構 読んでたんですけど。 

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